オープンCAEとは

CAE (Computer Aided Engineering: 計算機援用工学) とは,計算機によるシミュレーションを活用して製品の研究開発における設計支援を行うことです.適用分野は機械部品設計における応力シミュレーション,建築環境設計における気流シミュレーションなど工学全般にわたり,ものづくり立国日本を支える基幹技術といえます.私たちの目指すオープンCAEとは,この CAEにおける知識を共有し,普及させ,コミュニティを通じて育てられていくような環境です.

オープンCAE学会の理念

一般社団法人オープンCAE学会は,計算科学あるいはCAE (Computer Aided Engineering: 計算機援用工学) 分野で,知識を共有し,普及させることを目的に設立された,非営利の法人です.知識にはもちろん,プログラムや数理モデル,数値解法,さらにはそれらの利用方法まで含みます.そして私たちは,これらをコミュニティを通じて育てていくことを目指しています.私たちはこの概念を,オープンCAEと呼ぶことにしました.

オープンCAEが,学術的な根拠で裏付けられ,普及するには,プログラムがオープンソースで提供されていることや,フリーソフトウェアであることはたいへん重要です.計算科学やCAEを勉強したい,あるいはそれらの技術を使って新たな製品を生み出したいと考えている人たちが,これらの知識に自由にアクセスし,そしてこれらの知識が,コミュニティを基盤として支えられ,発展している世界を思い浮かべてみてください.

私たちは,オープンCAEの普及は人間文化にとってたいへん重要なことと信じています.オープンCAEの普及に賛同いただける方は,ぜひ本学会にご入会いただき,いっしょにこのコミュニティを育てていくことにご協力いただけますようお願いいたします.

関連資料

2009年11月7日に行なわれた第二回オープンソースCAEワークショップにおける学会設立式での、初代会長によるオープンCAE学会設立宣言です。
吉田 正典(爆発研究所、東京工業大学) 「オープンCAE学会設立宣言」第二回オープンソースCAEワークショップ、学会設立式セッション、2009年11月7日

私たちの目指すオープンCAEにおいて,CAEソフトウエアがオープンソースで提供されていることは,非常に重要なことです.では,オープンソースのCAEソフトウエアにはどのようなものがあり,どのような現状で,どのような課題があるのか,以下の寄稿からみてみましょう.
坂本雄三,柴田良一,今野雅,大嶋拓也,〝オープンソースCAE 展開と諸課題〞,建築雑誌,第124集1594号,pp. 38–39 (2009年9月)

このようなオープンソースCAEソフトウエアを使って,どのような問題を解くことができるか? また,現状をより良くするために,どのようなことができるか? それを追求するのは,私たちの重要な目標の一つです.またその成果を公表するために,発表の機会を作っています.以下の雑誌記事では,その様子をご紹介いただきました.
高木洋平,〝オープンソースによるCAEの進展と可能性〞,化学工学,第74巻第7号,p. 362 (2010年)